記憶ケア · そばで残す

親が病気になったら、記憶を残し始めるには

診断を受けると、心はたいてい落ち着きません。親のことをもっと残したいと思っても、どこから手をつければよいか分からないものです。この文章は、その瞬間に向き合ったばかりの成人した子どもへ。大がかりな計画はいりません。いちばん小さな一歩から始めましょう――ひとつの録音、ひとつの物語、口ぐせのひと言から。

いちばん小さな一歩から

最初から「伝記を書く」と気負う必要はありません。続けやすいのは、いちばん小さな行動です――食事のときに親が語った思い出をそっと録音する、寝る前にひとつ質問して答えを書きとめる。ひとつずつ、少しずつたまっていきます。二人にとって心地よいペースで――調子のよい日は多めに話し、疲れた日は休めばよいのです。ここに進捗バーはありません。そばにいること自体が、もう十分に意味を持ちます。

ひとつの質問から切り出す

いちばん難しいのは、切り出すことです。「人生について話して」と漠然と聞くより、小さくて具体的な、やさしい質問ひとつから始めましょう。次から一つ選び、食事のとき、散歩のとき、古い写真を見ながら、さりげなく聞いてみてください。

ひとつの質問で話が広がれば、それで十分です。行き着くところまで、無理に全部聞かなくて大丈夫です。

本人の言葉を残し、次の世代への一層も添える

親自身の中国語の言葉――その言い回し、方言、口ぶり――こそがいちばん大切な部分です。できるだけ話したままに残しましょう。家の子どもが中国語を読むのが苦手なら、原文に代えるのではなく、橋渡しとして英語の一層を添えることもできます。中国語が底本、英語は次の世代が読み進むための入り口です。そうすれば、物語は本来の声を保ちながら、受け継がれていきます。こうして一人の人生の物語をまとめる取り組みは、ケアの研究で人生の物語づくり(life story work)と呼ばれ、認知症の人と家族・介護者のあいだのコミュニケーションに役立つという研究があります。

まとめて保存する(拾得にできること)

拾得(Shide / Ensō)は、海外の中国系家族のための中国語・英語バイリンガルの記憶アプリで、ここまでのことをひとつにまとめられます。

拾得は医療機器ではなく、治療の役には立ちません。役に立つのは、「始める」ことと「残す」ことを、やさしくすることです。

よくある質問

親が話したがらない、「話すことなんてない」と言うときは?
よくあることです。大きな話は要りません。小さな具体的な質問、あるいは一曲の古い歌、一枚の古い写真からのほうが、たいてい自然です。多くても少なくても大丈夫。課題にしないでください。
録音や書き取りは必須ですか?
やりやすいほうで。音声メモがいちばん手軽で、声も残せます。数行の文字だけでもかまいません。拾得はどちらにも対応し、記録そのものは無料です。
記録した内容は安全ですか?アップロードされますか?
拾得はローカル優先で、思い出と写真は既定で自分の iPhone のなかに残り、登録も不要です。任意の AI 機能を自分で使うときにだけ、選んだ短い一節が送られます。写真や記録全体がアップロードされることはありません。

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参考資料

  1. Alzheimer's Association — Reminiscence and Reminiscence Therapy.
  2. NIHR — Life story work can help care workers and relatives connect with people with dementia.
  3. Woods B, ほか. Reminiscence therapy for dementia. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2018(やさしい要約)。